試合中継を見ていて、プレーよりも先に「この選手、髪型かっこいいな」と思ったことはないでしょうか。ピッチを走り回っても崩れず、それでいて日常でも様になる。サッカー選手の髪型には、スポーツとファッションの両方を満たす合理性があります。
ただ、いざ美容室で「この選手みたいにしてください」と写真を見せても、なぜか思った仕上がりにならない。個人的な経験でも、写真だけを頼りにオーダーして「なんか違う」となった回数は数えきれません。原因のほとんどは、髪質・骨格の違いと、刈り上げのミリ数やトップの長さといった具体的な数値をひとつも伝えていないこと。
この記事で学べること
- サッカー選手の髪型は大きく10系統に整理でき、自分に合う系統は2〜3種類に絞れる
- 写真だけのオーダーが失敗する理由は「ミリ数」と「トップの長さ」の未指定にある
- 三笘薫や久保建英の系統は、学生も社会人も違和感なく取り入れられる汎用型
- ハイフェード×アップバングは世界的な大潮流だが、日本では高さ調整が必須
- 汗で崩れないセットの鍵は、ワックスではなくジェルとグリースの使い分け
サッカー選手の髪型は大きく10系統に分けられる
膨大な選手の髪型も、構造で見れば整理できます。海外・国内の人気スタイルを系統別にまとめると、次の10タイプに収まります。
ナチュラルマッシュ系
耳周りと襟足をすっきりさせ、トップから前髪にかけて程よい量感を残すスタイル。久保建英選手やスペインのペドリ選手に代表される、若手ヨーロッパ勢と日本代表に共通する王道です。清潔感があり、学生でも社会人でも浮きません。迷ったらここから、と言えるほど汎用性が高い系統です。
ナチュラルツーブロック
サイド・バックを6mm前後で刈り、トップに長さを残す形。三笘薫選手のショートがこの典型で、日本代表の多くがこの系統に属します。刈り上げが強すぎないため、スーツにも制服にも馴染むのが強みです。
フェード×アップバング系
0mmからのスキンフェードやテーパーフェードに、前髪を立ち上げたスタイル。欧州・南米のトッププレイヤーの王道であり、2026年に向けた最大の潮流とされています。男らしく、スポーティー。ただし日本では、フェードの開始位置が高すぎると一気に「攻めた印象」になります。
センターパート×ルーズウェーブ系
トップを長めに残して真ん中で分け、ゆるいウェーブやニュアンスパーマを加える色気系。中村敬斗選手やジョアン・フェリックス選手のような、今っぽいおしゃれ路線です。
スパイラル・ツイストパーマ系
刈り上げをベースに、リッジ感のあるウェーブを乗せる形。束感が崩れにくく、動きが一日続きます。銀髪などのカラーと合わせて個性を出す選手が多い系統です。
ソフトモヒカン・モヒカン系
トップに幅を持たせて立ち上げ、サイドを刈り上げる攻撃的な印象のスタイル。ネイマール選手のアップモヒカンが代表格です。面長の方に似合いやすいとされています。
刈り上げショート(スポーツ刈り系)
サイド・バックをしっかり刈り上げ、トップも短めに。競技の妨げにならない実用型で、川島永嗣選手のようなGKに多く見られます。手入れがほぼ不要という実利があります。
カーリー・アフロ・マレット系
ボリュームのあるカール、カーリーマレット、ブレイズなどの個性派。ネイマール選手のカーリーヘアやブレイズ、70年代を思わせるカーリーマレットは、W杯のたびに象徴的なヘアとして話題になります。
マンバン・トップノット系
長髪を後ろで結ぶスタイル。日本では「サムライノット」とも呼ばれます。ハーランド選手のマンバン、ベッカム選手やイブラヒモビッチ選手のトップノットが有名です。伸ばす期間が長く、覚悟が要ります。
奇抜カラー・デザイン刈り
金髪、赤髪、ラインを入れたフェードなど。長友佑都選手の金髪から赤髪へのアップデートや、ミッドスキンフェードにデザインラインを入れた形が該当します。
日本人選手の髪型が「真似しやすい」理由

海外選手のスタイルに惹かれつつ、結局日本人選手の髪型に落ち着く方は多いはずです。理由は単純で、髪質と骨格が近いからです。
日本人の髪は直毛で太く硬い傾向があり、欧州選手の細く柔らかい髪や、南米・アフリカ系選手の強いくせ毛とは根本的に性質が違います。同じカットをしても、動きの出方がまったく異なる。
その点、三笘薫選手のナチュラルツーブロックショートは、TPOを問わず好印象を与えるショート〜ミディアムの代表例として繰り返し紹介されています。久保建英選手の前髪に少し重さを残したマッシュ系も、学生から社会人まで守備範囲が広い。大迫勇也選手のナチュラルショートに軽いカラーを合わせた形は、柔らかい印象をつくりたい方に向きます。
サッカーそのものへの関心が高い方であれば、サッカー日本代表 日程を追いながら、試合ごとの選手の髪型の変化を観察するのも一つの方法です。大会前後で髪型を変える選手は少なくありません。
美容室で失敗しないオーダーの伝え方

写真を見せるだけでは足りません。伝えるべき項目は決まっています。
刈り上げのミリ数と高さ
「サイドは6mmから、耳の上あたりまで」のように数字と位置をセットで伝えます。0mm・3mm・6mm・9mmが基本単位です。
トップと前髪の残す長さ
「トップは指2本分」「前髪は眉が隠れるくらい」など、体感で伝わる基準を使うとズレが減ります。
生活環境の共有
職場の規定、部活の規則、朝にかけられる時間。ここを伝えると、担当者が現実的な範囲で提案してくれます。
加えて、写真は正面・横・後ろの3方向を用意すると精度が上がります。正面だけでは、サイドの刈り上げ具合が伝わりません。
顔型と髪質から似合う系統を絞り込む

すべての系統が誰にでも似合うわけではありません。ここは正直にお伝えしておきます。
系統別の取り入れやすさ(日常生活での馴染みやすさ)
丸顔の方は、トップに高さを出すアップバングやソフトモヒカン系で縦のラインを強調すると、輪郭が引き締まって見えます。サイドをタイトに抑えるのが鉄則です。
面長の方は逆に、トップを高くしすぎないこと。マッシュ系で前髪に重さを残し、サイドに少し厚みを持たせるとバランスが取れます。ソフトモヒカンも、高さを抑えれば相性は悪くありません。
ベース型(エラが張った輪郭)の方は、サイドを完全に刈り込むとエラが強調されることがあります。ツーブロックでも6mm以上を残し、トップに動きをつけて視線を上へ誘導する形が無難です。
髪質については、硬毛・多毛の方はマッシュ系がそのままだと膨らみます。内側の毛量調整(セニング)を必ず依頼してください。逆に軟毛・猫っ毛の方は、ボリュームが出ないためスパイラルパーマを併用すると形が保ちやすくなります。
試合中でも崩れないスタイリングの考え方
選手のヘアが90分間崩れないのは、髪質が特別だからではありません。整髪料の選択が違います。
ジェルとグリースの使い分け
汗に強いのは、水分を含んだまま固まるジェルとグリースです。ワックスは油性のため、汗で流れて束が解けます。スポーツ時や夏場は、ジェルを選ぶのが基本です。
ただしジェルは乾くとパリッと固まり、動きの再調整ができません。日常使いなら、グリース(水性ポマード)のほうが扱いやすいと思います。ツヤが出て、手直しも効きます。
朝5分で仕上げる手順
セットの基本ステップ
前髪から整髪料をつけると、そこだけ量が多くなりベタつきます。後頭部から始める。これだけで仕上がりが変わります。
W杯が髪型のトレンドをつくってきた
大会のたびに象徴的なヘアが生まれてきました。ロベルト・バッジョのポニーテール、ベッカムのソフトモヒカン、ロナウドの「ハゲヅラ」と呼ばれた前髪だけを残した刈り上げ。いずれも当時、街の美容室で指名が殺到したスタイルです。
2026年大会に向けては、ハイフェードにアップバングを合わせた形と、センターパートのルーズウェーブが両輪になると見られています。前者は男らしさ、後者は柔らかさ。方向性は正反対ですが、どちらも「サイドをすっきりさせる」点は共通しています。
そしてトレンドは必ず巡ります。カーリーマレットのように70年代のスタイルが現代的に再解釈される例もあり、流行を追いすぎるより、自分の骨格に合う系統を軸に持つほうが長く楽しめると感じています。
選手の髪型に関心を持ったことをきっかけに、海外サッカー 日本人の活躍を追いかけ始めたという方も少なくありません。プロサッカー選手になるにはという道筋を調べるところまで進む方もいます。入口はどこからでも構わないはずです。
よくある質問
写真を見せれば同じ髪型になりますか
なりません。髪質、毛量、つむじの位置、骨格が異なるためです。写真は「目指す方向性」として使い、そのうえでミリ数やトップの長さを言葉で補足してください。担当者に「私の髪質だとどこを変えるべきですか」と尋ねるのが、もっとも確実な進め方です。
校則や職場の規定が厳しい場合はどうすればよいですか
ツーブロックを6〜9mm程度に留め、トップも短めにしたナチュラルショートが現実的です。刈り上げの開始位置を耳の上より下げれば、見た目の印象はぐっと落ち着きます。カラーを入れずとも、シルエットだけで十分にスポーティーな雰囲気は出せます。
どのくらいの頻度で美容室に行くべきですか
スキンフェードや短い刈り上げは2〜3週間、ツーブロックやマッシュ系は4〜6週間が目安です。短いスタイルほど伸びが目立ちます。維持コストを含めて系統を選ぶという視点は、意外と見落とされがちです。
パーマはかけたほうがよいのでしょうか
軟毛でボリュームが出にくい方、直毛で動きがつかない方には有効です。スパイラルやツイストは束感が保たれやすく、セット時間の短縮にもつながります。ただし髪への負担はあるため、頻度は2〜3か月に一度程度が現実的だと思われます。
金髪やカラーに挑戦したい場合の注意点は
明るい色ほどブリーチが必要になり、髪への負担と維持の手間が増えます。根元が伸びると色の境目が目立つため、1か月前後でのリタッチが前提です。まずはインナーカラーやハイライトのように部分的に入れる方法から試すと、失敗のリスクを抑えられます。
まずは自分の「軸」を決めることから
膨大な選択肢の前では、誰でも迷います。ですが系統は10種類しかなく、顔型と髪質、そして生活環境を掛け合わせれば、候補は自然と2〜3に絞られるはずです。
次に美容室へ行くときは、正面・横・後ろの3枚の写真と、「サイドは何ミリから」「トップはどれくらい残すか」という2つの数字を用意してみてください。それだけで、仕上がりの納得度は大きく変わります。
ピッチの上の選手たちも、最初から今の形にたどり着いたわけではありません。試して、微調整して、自分に合う形を見つけていく。その過程自体も、案外楽しいものだと思います。

