自分自身の運や巡り合わせを大切にしている

日本代表として2006FIFAワールドカップドイツに出場し、アルゼンチンやドイツなど海外でのプレー経験も豊富。高原 直泰は間違いなく日本を代表するストライカーの一人である。その高原が、今シーズンより始まった明治安田生命J3リーグのSC相模原でプレーする。そのニュースは大きな話題となった。

SC相模原加入から7カ月——2002年にはジュビロ磐田でJ1得点王に輝き、国内外問わず世界の第一線で活躍してきた高原は、ベテランの域に差し掛かかった今、どのような目標を持ちSC相模原でプレーしているのか。また、シーズンも終盤を迎え、J3リーグでの戦いをどのように感じているのか。彼の決意、現状、そして未来に迫った。

Q:SC相模原への加入はJ3リーグ開幕後の3月21日でした。SC相模原への加入を決断した理由を教えてください。
「僕に選択の余地はなかったんですよね。試合に出られないと分かっている状況でそこに留まるのか。それとも新しい環境に行って自分が試合に出られる状況を作り出すのか。その二択しかなかった。年齢的にも今は35歳で、当時は34歳。どんな形であれ、選手としてはやはり試合に出たい。年齢的にもサッカーができる時間というのは限られてくる。日々貴重な時間ですし、1日1日を無駄にしたくはなかったので決断は早かったですよ。悩むことなく、即決に近かったですね」
Q:J3リーグでプレーすることに抵抗はなかったですか?
「全くなかったですね。もちろん選手である以上、上を目指してやりたいですし、自分自身としては今もJ1でプレーできるとも思っています。ただ、タイミングであったり、人とのつながりであったり、そういうものがあって今の自分はSC相模原でお世話になっている。そういう自分自身の運や巡り合わせというものを大事にしているんです。それに、どのカテゴリーやどこの国でプレーしていても目標はある。それは選手としての目標であったり、チームの目標であったり。それに対して、自分自身がやり甲斐を見出せるかどうか。僕の中ではそのやり甲斐というものをSC相模原に見出せたんです」
Q:今までも自分のいる環境や状況におけるやり甲斐を大切にしてきましたが?
「そうです。だから、自分がどのカテゴリーでプレーしているという意識は持っていない。それはドイツでプレーした経験が大きいかもしれませんね。ドイツでは3部や4部リーグでプレーしている選手が、次のシーズンにはブンデスリーガでプレーしているなんてことはざらにあります。自分自身もそうでしたからね。ハンブルガーSVにいたとき、トップチームの試合に出られなくて、若い選手で構成されたいわゆるセカンドチームが3部リーグに所属していたので、そのチームの試合に出場したんです。そこで活躍したらすぐに認められて、その週のうちに今度はトップチームでブンデスリーガの試合に出場したことがあるんです」
Q:それはすごいですね。SC相模原には若い選手も多いですが、自分自身の経験をチームメイトに伝えていますか。
「誰がいつどこで自分のプレーを見ているか、見てくれているかは分からないですからね。若い選手にもチャンスは常に転がっているということは話していますね」

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